chapter. 1 History
ビーツの歴史
01
What is Beet?
ビーツってなんだ?
実は豊富な栄養と鮮やかなピンク色で、わたしたちのからだとこころをエネルギーで満たしてくれる、素晴らしい野菜、ビーツ。
知れば知るほど魅力的なビーツを、ご紹介します。
皮も中身も真っ赤ビーツは植物の分類ではヒユ科に属しており、てんさい糖の原料となるテンサイ(甜菜)やほうれん草の仲間です。ショ糖を多く含むため、食べるとほんのりと甘みがあります。「テーブルビート」や「ガーデンビート」、「カエンサイ(火焔菜)」などの呼び名もあります。
見た目は赤カブに似ていますが、カブとは別の種類の野菜です。
欧米、とくに東欧ではメジャーな野菜として食卓に並んでおり、ロシア料理で有名なボルシチが代表的なビーツ料理として有名です。
日本でも、その特徴的な色を生かしたスイーツや料理を見かけることも多くなりました。また、栄養価が高いスーパーフードのとしても知られ、「食べる輸血」「奇跡の野菜」とも言われています。
国産ビーツの旬は6~7月と11~12月ごろの2回。3月と9月頃に種蒔きをし、2〜3ヶ月程度で収穫ができる野菜です。
国産の生ビーツをスーパーなどで目にする機会はまだ少ないかもしれませんが、近年では国内栽培も少しずつ増えてきておりますので、旬の時期に道の駅などで出会えるかもしれないので是非探してみてください。
chapter. 1 History
ビーツの歴史
ビーツは地中海沿岸が原産と言われています。
紀元前1000年ごろから栽培されている古い野菜で、当初はヨーロッパで薬用として利用され、その後、中東地域へも広まって食用になったと言われています。1世紀ごろになって根の部分も食用として栽培されるようになるまでは、葉の部分を食べていたという記録が残されています。これは「フダンソウ」と呼ばれ、ヨーロッパまたは西アジアから東アジアへ持ち込まれたと考えられています。中国では唐代(6世紀)までに持ち込まれたことが、文献で確認されています。
ビーツの根の部分は古くから利用されていましたが、改良などが重ねられ、いわゆるビーツという品種が成立したのは16世紀頃のヨーロッパといわれています。現在はアジア、ヨーロッパをはじめとするユーラシア各国から、北アフリカ、アメリカ、中南米に至るまで、実に世界各地で日常野菜として定着しています。
日本ではまだあまり馴染みのない野菜のため、新しい野菜と思われている方も多いかもしれませんが、ビーツと日本との関わりは意外に古く、伝来は江戸時代と言われています。
江戸時代である1709年に編纂された本草書「大和本草」にこのような記述が残されています。
「暹羅大根.其種,暹羅より来る.京都にて近年隠元菜と云う。葉大に,根紅に,赤白の暈紋あり。うずのまいたるに似たりとて,うず大根とも云う.葉の心も紅し,味甘し.冬栄う」
暹羅(シャムロ※現在のタイ国)大根として紹介されていますが、「葉が大きく芯が赤く甘い」「断面はうずを巻いている」とは、まさにビーツそのものです。
当時の食べ方については、「シャムロ大根」と名がついていることを考えると、大根と同じように調理していたのか、また、当時のトマトや唐辛子がそうであったように、観賞用であったのか、そのあたりはよくわかっていません。
chapter. 2 Nutrients
ビーツの栄養
薬用として利用されていた歴史があるように、栄養価が高い野菜というだけでなく、医学的健康効果も認められている非常に優れた野菜です。
忙しい日々を送る現代のわたしたちは、外食続きの偏った食事の日が続いてしまったり、睡眠不足になったり、肩こりなど筋肉が固まってしまっていたり、さまざまな体の悩みをもっている方も少なくありません。
そんなわたしたちに、ビーツがもたらす効果はとても有効です。
ここではビーツを摂取することで期待される5つの健康効果について紹介します。
Beet Power 01
ビーツには、レタスやトマトの2倍以上のカリウムが含まれています。カリウムは体内の余分なナトリウム、すなわち塩分を排出する働きがあり、むくみの解消につながります。また塩分を排出して血圧の上昇を防ぐため、高血圧の予防にもなります。
ビーツによる降圧作用はたくさんの報告があり、血管が広がると、血流の改善によって酸素供給能力が向上することから、スポーツ界ではパフォーマンスの向上を目的に、ビーツを積極的に摂取している選手も多いです。ほかにも、冷え性の予防や認知症の予防への効果も期待されています。
Beet Power 02
ビーツの特徴的な色をつくり出している色素ベタシアニンは、ポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持っています。体の老化や生活習慣病などさまざまな疾患を引き起こす原因になると言われている体内の活性酸素を取り除いて、老化を防ぐとともに、細胞ががん化することを防ぐことができます。
Beet Power 03
パントテン酸は血液の中のLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす作用があります。動脈硬化の予防につながります。
Beet Power 04
ビーツには食物繊維のほか、天然の難消化性オリゴ糖「ラフィノース」が含まれています。腸内の環境を整えて善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑制する効果が期待できます。また便通を改善することで、老廃物を体外に排出しやすくします。食物繊維は血糖値の上昇を抑える機能もあるので、ダイエットにも最適です。
Beet Power 05
甘味成分であるベタインには、肝機能を高め、肝臓に脂肪がつくことを防ぐ働きがあります。肝硬変や肝脂肪の予防につながります。
chapter. 3 Color
ビーツの色
ビーツの鮮やかなピンク色を生み出しているのは、植物性色素であるベタシアニン(赤紫色)とベタキサンチン(黄色)によるものです。この色素は液胞に含まれているが、その細胞は脆弱なため、切ったり加熱したり、空気や太陽光にさらされると膜がやぶれて色素が漏れ出してしまうという特徴をもっています。ただしこの色素は酸性の溶液中では安定するので、ピクルスなどにすると美しいピンク色を保ってくれるのです。
また、色彩心理学的に見ると、濃いピンク色には「活動的な赤」と「鎮静をもたらす青」の要素が両方とも含まれています。
この色を目にすることによって、自律神経のバランスが整い、交感神経の興奮が鎮静化されて血圧が安定し、心の状態を上向きに導いてくれる効果があると言われています。
つまりビーツは、自身にたっぷりと蓄えた豊富な栄養素と美しく鮮やかなカラーによって、わたしたちのからだとこころをエネルギーで満たしてくれる、素晴らしくハイスペックな食べ物なのです。
愛情・しあわせ・おもいやり
ピンクは、恋愛・しあわせ・思いやりなどのやさしいイメージをもつ色です。幸せで心が満たされている時、愛や幸せを欲している時などにピンクが気になります。
また、ピンクに心と体を若返らせる効果があり、心を満たし、人を思いやるあたたかさを与えてくれる色でもあります。
そのため、食卓にビーツを使ったピンク色の料理を並べることで、より楽しい食事空間を演出してくれます。
味覚的な甘さを刺激する色でもあるので、食後のデザートや少量のスイーツを美味しく召し上がりたい時に活用することで、甘み倍増で幸福度もさらにアップします。
エネルギー・活力・情熱・興奮
やる気になっている時、元気がほしい時、自信を取り戻したい時、自分をアピールしたい時など、エネルギーが満ち溢れている、もしくは補給したい時に真っ赤なビーツ料理を食卓に並べることで、更なるエネルギーをもたらしてくれます。
また、赤に囲まれた部屋では体感温度が2~3℃上がるという実験結果も報告されています。これは赤の光が「交感神経」を刺激し、脈拍と体温が上がり、血流がよくなるためと考えられています。
寒気を感じる時や慢性的な冷え性対策に赤い料理を取り入れるのはいかがでしょうか?その場合はビーツの温かいスープがおすすめです。